転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
叫ぶ理央を、ジークはじっと見下ろしていた。
彼の視線は、理央の顔から、身体へとゆっくりと移動する。
「随分、元気そうだな。肩の傷は?」
「……痛い」
「だろうな。後で回復薬を届けさせる。かなり高価だが」
「聖女費にツケといて」
ふんと顔を背けると、ガラス窓に不貞腐れた少女の顔が写りこむ。
額にも包帯が巻かれ痛々しい。
それを認め、思いきり顔を顰めると、こめかみに鈍い痛みが走った。
「数日は安静にしてろ。これは護衛としての俺の落ち度でもある。対象からはやはり目を離すべきではないな……」
ジークの声は、低く静かで、先ほどとは少し様子が違っていた。
その言葉には、安堵と、かすかな後悔のようなものが滲んでいるように聞こえた。
本気で……心配、してくれたのだろうか。
理央は、思わず言葉を失う。
彼の表情は、普段のものとは異なり、どこか人間味を帯びていた。
「いいか、聖女殿の敵はそこら中にいる。今日の罠が、明らかにお前を狙って仕掛けられた物とは、明言出来ないが」
ジークは、窓の桟に座り、膝を立てて肘をついた。
彼の顔には、深刻な表情が浮かんでいる。
「この場所は、余りにも歪んでいる。それは聖女殿も実感しているのではないか?」