転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

 氷のように冷たく、周囲の空気を一瞬で凍てつかせるような声が室内に響いた。

 ビクリと肩を震わせた侍女が、血の気を引かせて一歩後ずさる。

 声の主は、部屋の入り口付近、影が濃く落ちる壁に背を預けていた。
 黒銀の軍装を纏い、銀色の長髪を無造作に束ねた男。
 その氷蒼の瞳は、まるで路傍の石を眺めるかのような、一切の温度を持たない無機質な光を宿している。

 長年の会社員生活で培われた理央の『関わってはいけないヤバい奴』センサーが、けたたましく警鐘を鳴らした。

(うわ……絶対に目を合わせちゃいけないタイプの、超絶不機嫌な軍人……!?)

「ジ、ジーク様……リオ様は、まだお熱が……」

「俺は王命により監視に就いているだけだ。この教会の操り人形が熱で寝込もうが喚こうが知ったことではないが……無駄な時間は取らせるな」

 男が吐き捨てるように言うと、室内は張り詰めた緊張感に支配された。
 冷酷な視線が理央を射抜くが、そこにあるのは完全なる『無関心』と『侮蔑』だった。

 深く、一度呼吸を整える。
 肌で感じる現実感と、見知らぬ美貌、そして殺気立っている厄介そうな監視役の男。
 これは単なる夢やゲームの世界ではない。

 長年の会社員生活で培われた理央の危機察知能力が、警鐘を鳴らす――これは由々しき事態である。

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