転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

8 次なる手駒

昨晩遅く、込み入った会話が交わされたというのに、件の監視役は部屋に居ない。

部屋に居ないなら、屋根裏にでも潜んでいるとか?
それはそれで怖いけど……。

理央が至極真面目な顔つきで天井板に彫り込まれているツタ模様をじっと見つめていると、つられるようにカナンも上を向いた。
その瞬間、もう一人の部屋付き侍女・セイラが軽やかな足取りで戻ってきた。

「リオ様~! 見てください、じゃーん!」

なにやら精緻な飾りのついた小瓶を掲げている。

「先ほど、ジーク様のお使いの方から頂きました~。近衛騎士団印の回復薬です! なんでも瀕死の重傷以外はすぐに治癒するそうですよ! すごいですよね、魔術師って。ただ、めちゃくちゃ不味いそうなので、鼻を摘まんで飲んだ方がいいって、かわいい系かっこいい部下さんが言ってました」

頬をやや赤らめるセイラを、カナンは興味深そうに見つめる。

「気になる? カナン」

「き、きにな、る……というか……かわいい、かっこいいって、どんな感じか、わからな、くて」

「かわいい系かっこいいは、そのまんまだよ~。んーとね、鳶色の髪がちょっとくるんとしてて、焦げ茶の目は少し垂れてて大きいの。でも背は高くて、近衛の人ってやっぱり強そう! って感じ!」

「焦げ茶……くるん……いぬ……」

「そうそう! 大型犬って感じ!」
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