転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!


 理央が聖教会における不正の証拠を漁り始めてから、数日が経った。
 教会の管理は想像以上に杜撰で、理央の論理的思考が火を噴くには十分な、どころか、まるで燃え盛る大火災に油を注ぐような惨状だった。

 過去十年分の物資管理記録を突き合わせた結果、数百件もの消失が発覚した。
 奉納されたはずの貴金属や貴重な食料品、さらには民衆からの寄進品である貴重な工芸品までが、ことごとく帳簿から消え去っていたのだ。教会の腐敗は想像以上に根深かった。

 ……何のためにここにいるんだっけ。

 処刑回避、のはずが、気づけば業務効率化と不正摘発に全力を注いでいる。
 前世では、会社の不正を暴いてヒーロー扱いされることはなかったが、この世界では、それが自分の命を繋ぐ手段なのだ。

「……信じられない。これ、監査が一度も入ってないの? 王政側が聖教会の手綱を握っているとばかり思っていたんだけど」

 理央が呆れたように呟くと、隣に控えていたジークの氷蒼の瞳が鋭くなった。

「教会は外部からの直接的な監査を拒んできた。聖なる独立性、と称してな」

「ふうん、護衛兼監視は送り込むのを許すのに?」

「聖なる裁きの日まで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からな」

 あっさりと返された言葉に、理央は無感情のまま「そう」と答える。

 聖女の処遇。
 とはいえ、何となく、教会側も王政側も、聖女の扱いに関しての思惑は、若干違うように感じる。

 実際問題としては、理央の行動に関して、未だ教会側から制限がかかっていない。
 恐らく、リオ・アリミヌエの中身が、原田理央に成り替わったことが起因しているのだと思う。
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