転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
「ねえ、これ、全部まとめれば、教会の汚職を決定的に暴けるわ。そうすれば、私が処刑される理由も、ただの無能扱いから、真実を知った不都合な存在へと変わるでしょう?」
理央の言葉に、ジークは微かに眉をひそめた。
彼女の思考回路は、彼にとって未知の領域だった。
自分の死の運命すら、業務上の課題として捉えているかのようだ。
「リオ・アリミヌエの存在そのものに、問題があるとは思わないのか」
ジークは言葉を飾らずに言った。しかし、その理由までは明かさない。
なぜ問題があるのか、誰が何を恐れているのか、その具体的な理由は伏せられたままだ。
「少なくとも……今の私は、誰かの思い通りに動かないのは確かでしょうね」
理央は鼻で笑った。彼女にとって、それは会社における不当な解雇通告のようなものだった。
絶対に受け入れられない。
ジークはしばらく無言で理央を見つめた後、ゆっくりと口を開く。
「この不正を暴けば、教会は大きく揺れる。そして、上層部の反発は必至だろう」
警告の響き。
ジークは王政側と聖教会間の複雑な力関係を知っている。
教会の不正を暴くことは、単に清掃作業に留まらず、王室の安定にも影響を及ぼしかねない、政治的な変革と傷を伴う。
「構わないわ。この国の民のためになる。そうなんじゃないの?」
理央は、真っすぐと、ジークの目を見た。
その瞳に宿るのは、独身を揶揄されても笑顔を崩さず、理不尽な要求に耐えながら徹夜で業務改善に挑み続けた、しぶとい闘志。
ジークは、その視線から目を逸らした。
彼の胸中では、王の密命と教会の闇、そして少女の行く末が彼の中で折り重なり、思考は沈黙を強いられていた。