転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
10 共同戦線
過去の支出記録の山と格闘しながら、理央はふと手を止めた。
部屋の隅で、腕を組んだまま壁にもたれかかる男がいる。
そう、いつもの光景。
けれど、いつもと違うのは──彼の目が、手元の書類ではなく、こちらに向けられていることだった。
「……黙って見られると、とっても作業しづらいのだけど?」
(背後から無言でPC画面を覗き込んでくる、嫌なマネージャーのソレじゃない! やりにくいったらありゃしないわ)
軽く目線だけを向けて、皮肉めいた声を投げる。
「聖女殿の様子があまりに楽しげだったのでな」
ジークは無表情のまま、淡々と告げる。
その目に浮かぶのは嘲笑か、あるいは──ほんの少しの興味。
「楽しげ? 自分の命がかかってるってのに、ずいぶんと能天気に見えるのね。もう少し悲壮感を出せばいいのかしら……」
(デスマ確定の炎上プロジェクトを回してる社畜が楽しそうに見えるなら、あんたの目は節穴……)
「──その作業を面白いと感じているのは、確かだろう」
理央は眉をひそめ、分厚い記録書の端をトントンと叩いた。
「そうね……数字と向き合うのは嫌いじゃないわ。少なくとも、あなたと向き合うよりは」
「光栄だな。ここまで嫌われるとは」
ジークは皮肉げに言い放ち、わざと机の真横に歩み寄ってくる。
彼の影が書類を覆い、理央はわざとらしく溜め息をついた。
部屋の隅で、腕を組んだまま壁にもたれかかる男がいる。
そう、いつもの光景。
けれど、いつもと違うのは──彼の目が、手元の書類ではなく、こちらに向けられていることだった。
「……黙って見られると、とっても作業しづらいのだけど?」
(背後から無言でPC画面を覗き込んでくる、嫌なマネージャーのソレじゃない! やりにくいったらありゃしないわ)
軽く目線だけを向けて、皮肉めいた声を投げる。
「聖女殿の様子があまりに楽しげだったのでな」
ジークは無表情のまま、淡々と告げる。
その目に浮かぶのは嘲笑か、あるいは──ほんの少しの興味。
「楽しげ? 自分の命がかかってるってのに、ずいぶんと能天気に見えるのね。もう少し悲壮感を出せばいいのかしら……」
(デスマ確定の炎上プロジェクトを回してる社畜が楽しそうに見えるなら、あんたの目は節穴……)
「──その作業を面白いと感じているのは、確かだろう」
理央は眉をひそめ、分厚い記録書の端をトントンと叩いた。
「そうね……数字と向き合うのは嫌いじゃないわ。少なくとも、あなたと向き合うよりは」
「光栄だな。ここまで嫌われるとは」
ジークは皮肉げに言い放ち、わざと机の真横に歩み寄ってくる。
彼の影が書類を覆い、理央はわざとらしく溜め息をついた。