転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
夕刻、理央はひと仕事を終え、椅子にもたれて軽く伸びをした。
(あーっ、肩凝った! ブルーライトもないのに目が霞むってどういうこと!?)
その肩に、ふわりと何かがかけられる。
「……えっ」
驚いて振り返ると、そこには無言のジークがいた。
彼がかけたのは、彼自身のマントだった。
「……なんのつもり?」
「朝から一度も休憩を取っていない。死人のような顔をされて、こちらの任務に差し支えても困る」
「心配するところ、そこ!?」
(『倒れられたら労災手続きが面倒だから』って本音を隠さないブラック企業の人事か)
マントを乱暴に引き剥がそうとするが、ジークは意に介さない。
「優しさ、とでも解釈したか?」
「するわけないでしょう!? あなたの辞書にその単語、あるの?」
「ない。だが、聖女殿の表情は予想外に悪くないという顔をしている。……そのほうが、監視する甲斐がある」
ジークはそう言い残し、再び壁際に戻っていった。
理央はその背中を見つめ、頬を軽く膨らませる。
「嫌味」
そう、ぽつりと零したその口元が微かに緩んでいたことに、彼女自身も気づいていなかった。