転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

11 業務改革その2

彼女が教会内の書庫や書架に頻繁に足を運び、過去十年以上も遡って古い支出記録を調べているという話が、一部の神官たちの間で囁かれ始めていた。

祈祷室での業務を終え、部屋に戻ろうとした理央の前に、太った神官が立ちはだかった。
先日、理央に処刑を告げた張本人。
枢機卿の一人、カティスである。

「聖女殿。近頃、少々、行き過ぎた行動が見受けられるようですな」

カティスの顔には、今まで見せたことのない明確な不快感が浮かんでいた。
彼らの利権に、理央の行動が触れ始めている証拠だった。

「私は、民のために尽くしているだけですが。まさか、聖女が勤勉に働くことが、この教会では行き過ぎた行動になるのでしょうか?」

理央は、あえてにこやかに応じる。

(出たわね、既得権益にしがみつく老害管理職特有の『余計なことするな』アピール!)

隣に立つジークが、無言のままカティスを見下ろしていた。
その威圧感に一瞬ひるんだ様子を見せたが、カティスはすぐに気を取り直した。

「聖女の務めは、祈祷を通じて神の御心を示すこと。過去の記録を漁るなど、俗事に過ぎぬ。陛下も、貴殿の過度な活動を憂慮しておられますぞ」

(横領してる奴に限って『俗事』とか『大局を見ろ』とか言うのよね~)

理央が内心で鼻で笑おうとした瞬間、ジークの目が氷のように冷たくなった。
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