転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
「あら、そう。陛下がご心配されているなら、光栄です。しかし、俗事なくして民の生活は成り立ちません。民が困窮していれば、心から神に祈ることもできないでしょう。それに、もし記録に不審な点があるのなら、それこそ神への冒涜ではないの? 監査は、義務でもあると思うのだけど?」
理央の言葉に、カティスの顔色が変わった。
『監査』という言葉に、彼らが最も触れられたくない部分が露呈したのだ。
「な、何を馬鹿な! 聖教会の会計は神に誓って清廉潔白!」
「黙れ」
ジークの低い声が、回廊に響き渡った。
その声には、凍てつくような怒気が含まれていた。
カティスはその圧力に言葉を詰まらせ、たじろぐ。
「貴殿のような者が、陛下の名を用いるな。浅ましい行いが、どれほど神の威光を傷つけているか、理解しているのか」
ジークの言葉は、痛烈な批判だった。
彼は今、ただの監視役としてではなく、はっきりと『護衛』として理央の側に立ち、教会を糾弾したのだ。
(……えっ、ちょっと待って。いつも私に当たりが強い氷の騎士様が、まさかのデレ!? いや、ただ職務に忠実なだけかもしれないけど……ちょっとカッコいいじゃない)
その様子に、理央の唇の端が微かに持ち上がった。
カティスは顔を真っ赤にして引き下がった。
彼が去った後、ジークは理央に視線を戻す。
「……この状況は、予測される以上に複雑だな」
そう言い切り、理央に背を向け、静かに部屋を出て行く。
残された理央は、彼の言葉の真意を図りかねながらも、確かな手応えを感じていた。