転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

歴代の聖女で、神託の儀による『魂卸し』が定着した例はただの一度だけ。
確率論からいっても、いずれ亡き者とされる器の精神が崩壊したところで、彼らにとって害はない。
むしろ反対に養ってやっているのだから、多少の実験は赦されて当然である。というのが、教会の頂点に立つ男の言である。

教皇シーリィーゼはカティスから渡された書類に軽く目を通し、片肘をテーブルにつくとしばし考え込む。

「聖キヨイは、なにをされたのだったか」

「呪解でございます」

「ふうむ……呪解、復元、消滅。いずれも魔術では成すことの出来ぬ神秘の力よのう……」

神の力を定着させることに成功した器には、神秘の力が顕現する可能性がある。
神秘が我が物となるのならば、己が治世の安定と享楽は想像に易い。
だが、そのような神秘は寓話にも等しく、雲をつかむような話でもある。

「今しばらく泳がせ……万が一にでも神秘が発露でもすれば、身柄を幽閉せよ」

< 57 / 81 >

この作品をシェア

pagetop