転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

 理央の表情が固まる。

 ジークの瞳が射抜くように彼女を見つめていた。
 
(……直球! いや、隠すつもりもなかったけど、いきなり確信突いてくるじゃないの!)

「……変なこと言うのね。私は、リオ・アリミヌエだって言ったでしょう」

「違うな」

 ジークはゆっくりと歩み寄り、手元の書類を覗き込んだ。

「声の出し方。言葉の選び方。目の動き。仕草。それらすべてが……俺の知るリオ・アリミヌエとは異なる」

 理央はしばらく沈黙し、やがて薄く笑った。

「……それで? もし私がリオ・アリミヌエじゃなくて、違う人間だったとしたら、どうするつもり?」

「確認しているだけだ。護衛として、異常の兆候を見逃さぬ義務がある」

「見逃さないなら、どうするの? やっぱり、斬首? 毒殺? それとも、深夜にこっそりと絞殺?」

 淡々とブラックジョークを飛ばす理央に、ジークは薄く笑う。

「そういうところも変わったな。以前の聖女殿は、冗談すら口にしなかった」

「そっちが無口すぎて、会話が成立しなかっただけじゃない?」

 鋭く返す理央の目には、わずかに緊張が走っている。
 それは怯えではない。
 突き刺すような警戒心。
 ジークは、その視線を正面から受け止め、静かに口を開く。

「だが……悪くはない」
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