転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

礼拝堂の中央通路には、理央がふとした思いつきで設置した『お悩み箱』――現代風に言えば、社内ご意見箱兼コンプライアンス通報窓口――が堂々と置かれた。

ちなみに、倉庫で見つけた空き樽を再利用したものだ。
セイラとカナンが装飾リメイクを手伝ってくれた。
エイラはお悩み箱が完成するまで、何も口を出さず見ていたが、完成した直後には、頬まで絵具まみれとなった理央を浴室に追い立てた。

「聖女に言いたいこと、業務改善のアイデア、上司への不満などがあれば何でもどうぞ! 匿名でも承ります。心理的安全性は私が保証します!」

神官や侍女たちは最初こそ遠巻きに眺めている。
だが通路を通りがかる隙に、紙が一枚、また一枚と投函されていく。
その傍らで、アスランはジークに耳打ちした。

「この奇妙な演出は……おそらく、あの文書を書いた密告者にも見せているのですね?」

「当たり前だ。教会側の仮説が総意となる前に、こちらから仕掛ける」

「仮説と言いますと……聖女が異質でも構わない、と思わせるということでしょうか……」

「いや……異質であるなら、教会は間違いなく囲い込む」

ジークの目は鋭く、だがその奥には、明確な意思があった。

──護るとは、真実を隠すことではない。
──真実ごと、立たせることだ。
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