転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
理央は、投函された手紙の束を読んでいた。
『朝の挨拶、聖女様から言ってくださって嬉しいです』
『食事の量が増えて助かってます』
『でも、話し方がちょっと怖い……かも?』
「ふふ……」
無理してないつもりでも、やっぱりちょっと、お局の圧が漏れて怖かったのかもしれない。
そんな自分にも、思わず苦笑が漏れる。
だが、そこに差し込まれた一通の紙片が、彼女の指を止めた。
『貴女は誰ですか』
一行だけの言葉。
無記名のその問いに、理央はしばらく視線を落とし、それからぽつりと呟いた。
「それ、こっちが聞きたいくらいなんだけど」
(私が誰かって? 残業と休日出勤でメンタルをすり減らした挙句、過労死した悲しき社畜よ!)
静寂の中、遠くで誰かの足音が聞こえた。
気配を察知して顔を上げると、そこにはいつもの無愛想な男が立っていた。