転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
祈祷台の前に有る長椅子に、傲慢そうな顔つきをした青年が足を組んで座っている。
それを囲むようにたくさんの騎士たち。
彼らの視線が、リオに突き刺さる。
「貧相」
立派な体躯をした青年は、連れられてきたリオを上から下まで眺めた後、吐き捨てるように口にした。
その声には、一切の慈悲が感じられなかった。
「だが、色合いは皮肉なことに完璧だな。名は」
「――――で……す……」
「聞こえぬ。その口は何のためについているのか」
「リ……リオ、です」
「お世継ぎ生誕の余興にしては、父上も随分と悪趣味だが――お前の身柄を王都へ移送する。喜べ。お前は、当代『聖女』に選ばれた」
ムールブルク侯爵家嫡男。
近衛騎士団に所属するロイド・ムールブルクは、心底嫌そうな顔をしてそう告げた。
その言葉は、リオには全く理解できなかった。
ただ、『王都へ移送』という言葉だけが、凍てついた心に小さな漣を立てた。
それが、希望なのか絶望なのか、十歳になるかそこらのリオにはまだ分からなかった。