転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
教会の裏庭に、淡い風が吹き抜けた。
初秋の柔らかな風が、歴史を感じさせる古い石畳を撫でていく。
理央は小さなスコップを手に、花壇に腰をかがめていた。
「……で、それが聖女の勤めだと?」
背後からジークの皮肉交じりの声が飛んでくる。
理央は構わず、黙々と土を均していた。
「だって今まで完全に放置されてたのよ、この花壇。春に咲く花は、秋に種を埋めてあげないと」
「まさか、花の世話で上層部から裁可を得ようとしているのではないだろうな?」
「あの人たちが、そんなもんで動くわけないでしょ。ちょっとした気晴らし。いわゆるメンタルヘルスケアよ」
ジークは少しだけ表情を動かした。
返す言葉が見当たらなかったのだろう。
それでも彼は、律儀にその場を離れなかった。
むしろ、教会の人間が近づかないよう睨みを効かせ、誰よりも長く理央の傍にいるのは、いつもこの男だった。
土の香りの中、理央がふと問いかけた。
(魔法とか神の奇跡とか、そういうファンタジーな理屈は抜きの、純粋な組織論としての疑問……)
「ねえ。ジークって、教会と王政が何を睨み合ってるのか、ある程度把握してるって認識で良い?」
「質問の意図は」