転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
扉が軽く叩かれた。
続いて、軋むような音を立てて扉が開き、ひょいと誰かが顔をのぞかせた。
「……失礼します、聖女様。僕が今日から警護任務を兼ねることになりまして」
髪を無造作にかき上げ、笑みを浮かべた青年だった。
やや軽い印象のその青年は、腰の聖印と質素な衣から、下級神官であることがすぐにわかる。
「アスラン、貴方が、護衛を?」
「うん、正確には付き添い役ってやつです。僕みたいな末席神官なら、動向を監視するって意味でも教会側は使いやすいって思われたんでしょうね」
理央が思わず苦笑する。
「ずいぶん素直ね」
「いえいえ、僕、もともと聖女様を――いえ、今のあなたを崇拝したいんです」
「……理由を聞いてもいいかしら?」
アスランは笑顔のまま、なんてことのないように答えた。
「収穫祭のあの光を見たんですよ。偽物ならあんなことができるわけないって思った。それだけです。たとえ貴方がリオ・アリミヌエを名乗らず、『ハラダリオニホンジン』だと名乗っても」
シンプルな答えだったが、アスランの言葉は理央の胸に素直に入って来る。
「ハラダリオニホンジンって、なんか斬新な響きすぎない? フルネームで呼ばれるとちょっと恥ずかしいんだけど。てか、あの時の独り言、よく覚えられたわね」
理央はくすくすと笑う。
あの日、旧修道院棟で祈祷記録を見つけた時の独り言。
アスランは一言一句違わず覚えていたようだ。
「斬新です。それから、業務改革。すごく新鮮で面白かった。最初は何でこんな事って思っていたんですけど」
言いながら、アスランが懐から封筒を取り出した。
「それと、これは護衛殿から預かってきたものです」