転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
「……ジークから?」
「はい、近衛騎士のジーク・オベールレヒト殿からです」
理央は封を切り、手紙を広げた。
「……なんか、あの人が書きそうな感じ。手紙っていうか、これ完全に業務連絡の『メモ』じゃない」
(『状況把握済。待機せよ』って……LINEのスタンプか!)
思わず口をついたツッコミに、アスランが小さく笑った。
「そうそう、あともう一人。これから聖女様の護衛に加わる方がいます。ジーク殿の副官で、ルキウスっていう方です」
扉の外で控えていたその人物が、静かに姿を現した。
長い黒髪を片側で縛り、理知的な眼鏡の奥に冷静な光を宿す男。
「リオ様、はじめまして。ルキウス・ミュラーです。第二近衛騎士隊副官として、聖女殿の動向を補佐いたします。以後、お見知りおきを」
きっちりとした言葉遣いと礼儀。
軍人というよりも、優秀な銀行員か法務部のエリートぽい空気をまとっている。
「ふたりも護衛がつくなんて、なんだか大げさね」
「ええ、それだけ聖女様が重要視されてるということですよ」
ルキウスがそう言いながら、ちらりと理央を見た。
「それに、三人目です。俺、レオっていいます!」
今度は扉の脇から、鳶色の癖毛を跳ねさせた青年が勢いよく顔を出した。
「ジーク隊長の部下で、下っ端ですけど、意外と動けますんで!」
気の抜けた笑顔に、理央は思わず吹き出した。
「近衛って暇なの? 二人も抜けちゃって大丈夫?」
「今までは、ジーク様の方が平気で一週間くらい顔出さないことザラでしたし。めちゃくちゃ仕事溜まってるんですよ、あれでも」
レオの言葉に「ある意味で、お灸ですね」とルキウスが冷たく続ける。
塔の奥まった、風が通らないこの場所にも、少しずつ空気が変わり始めていた。
「……よろしくね、みんな」