転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
外に出ていたルキウスとレオは、ちょうどのタイミングで幽閉部屋に戻ってきたようだ。
レオの手には冷めきった昼食が乗せられたトレイがある。
冷えた分厚いステーキが見える。
肉食禁止はいったいどこにいったのか。
(まさか本当にぶくぶく太らせて、その扉から出られないようにする気だったらどうしよう……ヘンゼルとグレーテルの魔女か!)
内心で呟きつつ、肉の切れ端にフォークを突き立てた。
「また、量が多いって……言ったのに」
「余ったら俺が食べるんで大丈夫ですよ! 任せてください!」
レオの軽口にルキウスが青年の額を小突く。
「それよりも、我が親愛なる近衛第二隊の筆頭殿ですが……」
ルキウスが手にしていた書類に目を落としながら、眼鏡のフレームに触れた。
「今晩は、こちらに顔を出せるようです」
「えっ、あの決裁量、もう全部捌いたんですか……すげえ……流石。え、じゃあ俺今日デートいけちゃう……?」
レオの言葉にはわりと裏表が無く、どちらかというと理央としては好ましく思っている。
「フローラさん?」
「そうっす。聖女様の祈祷受けたいって、いっつもいってますよ」
「祈祷って……私は普通に女子トークしたい感じだけど。このとこ男所帯でなんかむさくるしいし。窓も小さいし換気がね……」
「風呂入ってから来てますよ俺!?」
「別にレオが臭いって話をしてるわけじゃないんだけど。見た目に花が無くて、壁と、自分よりでかい体の男ばかりで圧迫感あるっていうか。……外出たい」
「すいません、外に出せなくて」
アスランが何かを書きつけていた手を止め、小さな声で謝る。
「別にアスランが悪いわけじゃないでしょ」
何が悪い?
体制が悪い。
聖女制度というゆがんだ仕組みが悪い。
そして教会という名の元に、人間に対して行われてきた非道な行為が、何よりも悪いのだ。