転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

19 器と魂の行方

「ジーク・オベールレヒトだ。入るぞ」

 その名を聞いた瞬間、理央の心臓が跳ねた。

 「……どうぞ」

 扉が開き、整った制服姿のジークが姿を見せる。
 相変わらず感情を抑えた表情のままだが、目の下には若干のクマができていた。

「根を上げているかと思ったが」

「そっちも相当憔悴してるように見えるけど、気のせい?」

(この数日間、私の幽閉騒ぎの裏でどれだけ残業と調整を押し付けられてたのよ……)

「余計なお世話だ」

 ジークは無遠慮に椅子を引いて腰を下ろす。
 けれど、その態度の奥にあるものを、理央はもう気が付いていた。

「これは私的な面会?」

「公的な立場から言えば、確認と報告。私的には……そうだな、聖女殿の顔を見たかった」

「な、に言ってるのよ急に」

 唐突な言葉に思わず動揺して、テーブルの上に置いていた祈祷記録の一冊が床へと落ちる。
 理央が拾い上げる間もなく、それはジークの大きな手に収まり、彼はそのまま何気なく頁をめくり始めた。

 「――その子(・・・)に、定期的に面会してたのって……あなた?」

 珍しく消え入るような声に、ジークは片眉を跳ね上げた。
 そしてじっと理央を見つめる。
 やがて一度目を伏せたのち、静かに首肯した。

「そうだ」
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