転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
「強い、のかなあ。強くあらねばとかは思ってないけど、負けたくないの。そもそもこの世界に来てから、理不尽な死についてこれでもかって思い知らされてきたのよね。今日まで」
「……この世界に来てから?」
思わず失言した理央は、一瞬唖然としたように口元を抑え、それからくすくすと笑いだす。
控えていたアスランが心配そうな視線を寄越してくる。
「そう、この世界に来てから。私は、リオ・アリミヌエっていう女の子の体の中に、なぜか知らないけど、気が付いたら入っちゃってたの。頭おかしい女だと思う?」
「……いや」
「あの収穫祭での光の演出。あれって誰の力? この身体の持ち主? それとも私?」
「恐らく、どちらでもない」
ジークの答えは即答だった。
「君があの場で、祈り、声を上げた。その結果、現象が起きた。それがすべてだ。当代聖女リオ・アリミヌエの力だ」
「ずいぶん、強引な理屈ね」
「君にだけは言われたくないな。理屈より合理的に判断する主義だろう」
「……それは、まあ否定できないけど」
ジークは、椅子に深く腰を沈めた。
「聖女――いや、何と呼べばいいか。神託の儀とは、儀式の名だけを借りた、禁忌の術だ。人間の魂に触れ、管理するような魔術は、この国の法で固く禁じられている。国法とは、この国に存在するすべての人間に対して遵守されなければいけない」
突然の告白に、理央の目が揺れた。