禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜

003.それぞれの強さ

私たちの猛特訓が始まってから、一年が過ぎた。
最初は一日走っただけでへとへとになっていた私たちも、今まですっかり毎日の訓練が日課になっていた。

朝は走り込み、そのあとは魔力操作。そして最後に、魔法の練習。

そして今日も私は、何度目か分からない魔力操作を繰り返していた。

目を閉じて、身体の奥にある、目には見えない力を探す。
それを少しずつ、指先へ。焦らして、ゆっくり___集める。


「……っ」


指先に、淡い水色の光が灯った瞬間。

ぱしゃんっ!

小さな水の塊が勢いよく飛び出し、少し離れた木にぶつかって弾けた。


「おお……!」


隣からルカの声が上がる。


「ずいぶん上達したね、アイリス」


後ろから聞こえたノアの声に振り返ると、ノアは嬉しそうに目を細めていた。


「ほんとに?」

「ああ、最初の頃とは比べ物にならないよ」


そう言って、優しく笑う。


その言葉が、なんだか嬉しかった。

もっと上手くなりたい、もっと強くなりたい。そう思うようになったのは、いつからだろう。

最初はルカに付き合っていただけだったはずなのに、今では魔力を扱うことが楽しくて仕方がない。

私は元々、魔力量が多いらしい。
魔法の感覚を掴むのも早くて、お兄ちゃんから『才能がある』と言われることも増えてきた。


……でも、『才能がある』だけで終わりたくなかった。

才能があるなら、その分だけ努力したい。だって___


「くっ……!」


突然、隣から悔しそうな声が聞こえた。見ると、ルカが自分の手を睨みつけている。


「オレだって、アイリと同じだけやってるのに……」

「ルカ」

「なんでオレだけ魔法出ないんだよ!」


唇を尖らせるルカの顔があまりにも悔しそうで、私は思わず笑いそうになった。
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