禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
ルカは___幼い頃、虐待を受けていた。

家族から大切にされることもなく、安心して眠れる場所もなく。幼い彼は、ひとりで森に置き去りにされていた。


どうしてそんなことになったのか。詳しいことを、ルカは今でも話したがらない。

私も聞かなかった。聞いてしまったら、ルカが無理に笑っていることに気づいてしまいそうだったから。


それでも、ひとつだけ覚えている。
私が手を差し出したとき。ルカは、その手を取ることを怖がった。

まるで___『自分が誰かに触れていいのか分からない』、そんな顔をしていた。

だから私は、もう一度手を差し出した。


『一緒に帰ろう』


それだけ言った。そして、ルカは小さく頷いた。


その日から、ルカは私たちの家で暮らすようになった。
最初の頃は、何をするにも遠慮していた。

ご飯を食べるときも、お風呂に入るときも。眠るときでさえ。


『ここにいていいの?』


何度もそう聞いていた。

そのたびに私は、


『いいに決まってるじゃん』


と答えた。

それが、いつの間にか。


『おはよう、アイリ!』

『あの木まで競走な!』

『アイリ、これ見て!』


そんなふうに、うるさいくらい笑うようになった。私は、それが嬉しかった。


……だから。今のルカしか知らない人は、きっと気づかない。

あの子が、どれだけ寂しがり屋なのか。ひとりになることを、どれだけ怖がっているのか。

そして___


「……」


私は、ルカの首元を見る。そこには、今日も白い包帯が巻かれていた。


出会った頃からずっと。一度も外されることのない、白い包帯。

最初は怪我をしているのだと思っていた。でも、何年経ってもその包帯が取れることはなかった。
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