禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
聞こうと思えば、聞けた。

でも、人には、触れてほしくないことの一つや二つくらいある。


だから私は、何も聞かない。ルカが自分から話したくなる日まで。


「……アイリ?」

「え?」

「どうしたの?」

「ううん。なんでもない」


そう答えると、ルカは少し首を傾げた。それから、ふわっと笑う。


「そっか」


その笑顔は、昔よりずっと明るくなった。でも私は、ときどき思う。


この笑顔の奥には、まだあの日の小さなルカがいるんじゃないかって。ひとりになるのが怖くて、誰かに必要としてほしくて。

それでも、そんなことを言えないまま笑っている男の子が。


「……オレ」


突然、ルカが口を開いた。


「ん?」

「アイリがいてくれて、よかった」


あまりにも真っ直ぐな言葉だった。

胸が、どくんと鳴る。


「……私も」


少しだけ恥ずかしくなりながら、笑う。


「ルカに会えてよかったよ」


ルカが目を丸くした。

そして___嬉しそうに、笑った。


「……そっか」


その声は、いつもより少しだけ小さかった。


「じゃあ、オレたちずっと一緒だね」

「うん」


私は何の迷いもなく頷いた。

___この約束が、ずっと続くと思っていたのに。


「はいはい。二人とも、しんみりするのはそこまで」


ノアの声が割り込んでくる。


「そろそろ行かないと、日が暮れるよ」

「はーい」


ルカが笑う。

私も両親の方へ振り返った。


「行ってきます」

「気をつけて」

「帰ってきたら、いっぱい話を聞かせてね」

「うん!」


三人で家を出る。

いつもの森へ、いつもの道を。___ただ今日は、いつもとは少し違う。


私たちにとって、初めての『外の世界』だった。
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