禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
「……右側」


小さく呟く。


「魔物が一体いる」

「……!」


ルカの目が輝いた。


「本当に!?」

「声を抑えて」

「あっ、ごめん……」


すぐに口を閉じるルカ。でも、その目だけは隠しきれないほど嬉しそうだった。


「レベルは……そうだな」


ノアが少し考える。


「二人でも十分倒せる程度だと思う」


その言葉に、ルカが勢いよく振り向いた。


「俺たちがやっていいの!?」

「そのために、ここまで来たんだろ?」


ノアが笑う。さっきまでの険しい表情が、ほんの少しだけ柔らかくなった。


「ただし、無理はするなよ」

「うん!」

「危なくなったらすぐ俺を呼ぶこと」

「分かった!」


ルカは拳を握りしめた。その姿を見ていると、私まで胸が高鳴ってくる。

今までずっと、練習だった。
木を相手に魔法を撃って、ルカと何度も勝負して。失敗して、また練習して……それを何度も繰り返してきた。


でも___今日は違う。

初めて、本物の魔物と戦う。


「……アイリ」


ルカがこちらを見る。


「行こ」

「うん」


私は小さく頷いた。


怖くないと言えば、嘘になる。

それでも。今の私なら、きっと大丈夫。


「オレに任せろ、アイリ」


ルカが笑う。その笑顔につられて、私も笑った。


そして二人で、森の奥へと足を踏み出す。

その先に何が待っているのかも知らずに___私たちの、初めての戦いが始まろうとしていた。
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