禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
なぜだろう。なぜか、気になってしまう。

あの傷も、あの紫色の瞳も、一人で魔物を倒せる強さも。
何より___あんなに口が悪いのに、私の怪我を気にしてくれたことが。


「……変な人」


ぽつりと呟く。


「何が?」


ルカが聞いてくる。


「ううん。なんでもない」

「……ふーん」


ルカは少しだけ不機嫌そうに、私の手を握った。


「アイリ、行こ」

「うん」


歩き出しても私は、何度か振り返ってしまった。

少年は、まだその夕陽の中で、私たちを見つめている。
その表情は、やっぱり何を考えているのか分からなかった。


「……あ」


少年と、もう一度目が合う。

今度は___なぜか少しだけ、彼の目が柔らかく見えた気がした。


「アイリ」

「……なに?」

「もう振り返らなくていいから」


ルカは前を向いたまま、私の手を少し強く握る。


「……あいつ、オレ嫌い」

「えぇ……」

「なんでアイリはあんな奴のこと気にするんだよ」

「別に、気にしてないよ?」

「気にしてるじゃん」

「してないって」

「してる」

「してない!」


そんな言い合いをしながら、私たちは森を歩いていく。


___このときの私は、まだ知らなかった。
あの少年との出会いが、私の人生を大きく変えていくことになるなんて。

そして、あのとき少しだけ握られた手が、いつか私の隣から離れなくなることも。
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