禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
「……ん?」


ゴォォォォン___

突然、空から地響きのような音が響いた。


「……なんの音?」


ルカが不思議そうに天井を見上げ、私も顔を上げた。

音が近づいてくる。どんどん、大きく。


「……何、これ」


次の瞬間___バァンッ!!

玄関の扉が、勢いよく吹き飛んだ。


「___っ!」


悲鳴すら出なかった。

身体が固まる。


木片が床に散らばり、冷たい風が家の中へ流れ込んでくる。

その向こうから、二人の人影が現れた。
黒いマントを羽織り、顔はフードに隠れていて表情すら見えない。


「……おい」


低い声が響く。


「ここで間違いないんだよな?」

「あぁ」


もう一人が答える。


「例の逃亡被検体が、この家にいると」


___逃亡被検体?


なんの話……?


意味が分からない。

ただただ、嫌な予感だけが身体中を駆け巡った。


「……金髪」


男の視線が動く。


「それに、金がかった瞳」


その視線の先には___ルカ。


「……っ」


男が、ゆっくり手を伸ばした。


「やめろ」


ルカが一歩前へ出る。


「オレに触るな」


いつもの明るい声じゃない、低く警戒した声。


次の瞬間、ルカが地面を蹴った。

速い。けれど___


「……なるほど」


男は、それをいとも簡単に受け止めた。


「っ……!」


ルカの身体が宙に浮く。


「ルカ!」


私は叫んだ。

男はルカを片手で拘束しながら、興味深そうに彼を見つめている。


「この反応速度……」

「離せ……!」


ルカが必死に抵抗する。


「いい瞬発力を持っているな」


その声には、感情がなかった。

……人を、見る目じゃない。


「やめて!」


私は反射的に手を伸ばした。

魔力を集める。


「アイリス、待って!」


ノアの声が聞こえた。

でも、止まれない。
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