禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
「___っ!」


水の魔法を放つ。

男はそれを避け、こちらへ手を向けた。


「……邪魔だな」


次の瞬間、身体に衝撃が走った。


「___っ!」


視界が揺れ、気づけば私は壁際に倒れ込んでいた。


「アイリ!」


ルカの声に、身体を起こそうとする。

痛い。
でも、それより___怖い。


何なの、この人たち。

どうしてルカを狙ってるの?


どうして……


「大人しくしろ」


男の手が、ルカの首元へ伸びた。

そして、ルカの首に巻かれていた白い包帯を掴む。


「……!」


ルカの顔色が変わった。


「やめろ……!」


初めて見る表情だった。


ルカが、怯えている。

今までどんなに辛そうな顔をしても、こんな顔だけは、見たことがなかったのに。


「ルカ……!」


男が包帯を外し、隠されていた首元があらわになる。


そこには___黒い文字が刻まれていた。


『E-108』


息が止まる。

それは、タトゥーのように肌へ残された数字だった。


「被検体番号、E-108」


男が淡々と呟く。


「……間違いないな」

「被検体……?」


その言葉の意味が分からない。


私はルカを見る。

ルカは何も言わず、ただ震えていた。


「連れて行け」


男がルカを引き寄せる。


「待って……!」


私は立ち上がろうとするけれど、身体が思うように動かない。


「ルカ!」

「……アイリ……」


伸ばした手が、届かない。

あと少しなのに。


「……嫌だ……助けて」


ルカの声が、初めて泣きそうに震えた。


「アイリ……!」


その名前が、家の中に響いた。


そして___私の大切な日常は、あまりにも呆気なく、壊された。


E-108。その数字が何を意味するのか。

このときの私は、まだ何も知らなかった。
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