禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
「相手の居場所も分からない。人数も、目的だって分からない」


ノアの言葉は、正しい。

正しいからこそ、苦しい。


「それでも行くって言うなら___」


ノアが一度、目を伏せた。


「俺は、お前を止める」

「……っ」

「嫌われてもいい」


その声が、かすかに震えた。


「お前が生きてるなら、なんだっていい」

「……」


涙が止まらない。

分かってる。お兄ちゃんは、私を守ろうとしてる。

私だって分かってる。でも。


「……嫌だ」


小さく首を振る。


「そんなの嫌……」


胸の奥がぐちゃぐちゃだった。


ルカを助けたい。でも怖い。

ノアの言っていることも分かる。でも、諦めたくない。


何を選んでも、誰かが傷つく。


「……お願い」


私はノアの服を掴んだ。


「お願いだから……」


声が上手く出ない。


「ルカを助けてよ……」


ノアは何も言わなかった。


ただ、私の頭をそっと抱き寄せる。


「……ごめん」


その一言が、何より苦しかった。


父も、母も、何もできずに、ただ泣いている。
私も、ノアも。誰も、ルカを助けられない。

___こんなにも近くにいたのに、たった一人の大切な人を、守れなかった。


その夜、いつも三人分並んでいた食卓には___ひとつだけ、空いた席があった。
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