禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
ルカがいなくなってから、数日が経った。
朝になっても、夜になっても、ルカは帰ってくることはない。

いつもなら、朝からうるさいくらいに聞こえていた声も、私の名前を呼ぶ声も。
もう、どこからも聞こえてこない。


そして___


「お兄ちゃん……」


ノアも、帰ってこなくなった。

あの日を境に、まるで何かを決めたみたいに家を出ていった。


両親のところには、『少し家を離れる』と、それだけが書かれた手紙が残されていたらしい。

理由は書かれていなかった。
どこへ行ったのかも、いつ帰ってくるのかも。何も。


私は、その手紙を何度も思い返していた。


___私のせいなのかな。


あの日、私は取り乱した。
ルカを助けたい一心で、お兄ちゃんに酷いことを言った。

見捨てるのかって、ルカを切り捨てるのかって。本当は、そんなこと思ってもいなかったのに。


「……最低だ、私」


小さく呟く。


お兄ちゃんは、ずっと私たちを守ってくれていたのに、私は自分の気持ちをぶつけて傷つけた。

幻滅されても、嫌われても仕方ない。


でも___違う。


「……しっかりしろ」


いくら考えても、仕方がない。

私は首を振った。こんなことをしていても、何も変わらない。


ルカは帰ってこないし、お兄ちゃんもいない。

なら、今の私にできることをするしかない。


「……もっと強くならなきゃ」


それから私は、練習時間を倍に増やした。

朝起きて、魔力操作。走って、体力を鍛える。水魔法の精度を上げて、何度も剣を振る。

何度も避けて、何度も倒れて、何度でも立ち上がる。
腕が痛くても、足が重くても、魔力が空っぽになりそうでも。


私は、止まらなかった。

___ルカを助けるためだけに。
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