禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
私は机の上に紙を広げ、私が覚えていることを書き出した。

ルカが連れ去られた理由、黒いマントの二人組、『被検体』という言葉。

そして___E-108。ルカの首に刻まれていた番号。


「……被検体」


何度考えても答えは出ない。
あの人たちは何者なのか、どこへルカを連れて行ったのか、どうしてルカなのか。

そもそもルカは、何を隠していたのか。


分からない、何も分からない。

だから、私は気づいた。


……強くなるだけじゃ駄目なんだ。

剣を振るだけじゃ、魔法を磨くだけじゃ。ルカの居場所には辿り着けない。


「……情報が必要だ」


この街には、何もない。
あるのは森と、小さな家と、いつも通りの穏やかな暮らし。平和すぎるくらい、平和な場所。

私はここで生まれて、ここで育って、ここしか知らない。


___世界が、どれくらい広いのかすら知らない。


窓の外を見る。

見慣れた景色と、木々の向こうに広がる、いつもの森。
今までは、それが世界のすべてだと思っていた。

でも、違う。世界は、もっと広い。


きっと、この森の向こうにも、この街の外にも、私が知らない場所がたくさんある。

なら___


「……行こう」


怖くないわけじゃない。むしろ怖い。

ルカを奪った人たちがどこにいるのかも、外の世界に何があるのかも分からない。

それでも。


「私が、探す」


誰かが助けてくれるのを待っているだけなんて、もう嫌だった。


「ルカを連れ戻す」


あの日、何もできなかった自分とはもう違う。

強くなって、知って。そして___必ず、見つけ出す。


「……待っててね、ルカ」


窓から差し込む朝の光は、不思議なくらい眩しかった。

まるで、この先にあるものを全部知っているみたいに。


「今度は、私が迎えに行くから」


___11歳の私はその日、初めて自分の意思で世界へ踏み出すことを決めた。
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