禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
最後に、部屋を見渡す。
いつも見ていた景色、いつも使っていた机、窓辺に置かれた小さな花。

全部、何も変わっていないのに、私だけがもう昨日までの私じゃない気がした。


「……行ってきます」


誰もいない部屋に、そう呟く。


そして___両親のいる部屋へ向かった。

二人には、手紙を残そう。ノアと同じように。


きっと話せば、止められる。
危ないからやめなさい、まだ子供なんだから、帰ってきなさい。そう言われるに決まっている。

でも。


「……ごめんなさい」


それでも、行く。

親不孝なのかもしれない。心配をかけることも分かってる。

それでも。


「私、ルカを迎えに行ってくるね」


声に出した瞬間、胸の奥が少しだけ痛くなった。


泣きそうになる。

でも、泣かない。泣いたら、きっと、足が止まってしまうから。


鞄を背負って、玄関へ向かう。

扉に手をかけて___ガチャ。

ゆっくりと開き、差し込んできた朝の光が、眩しかった。


一歩、外へ出る。

振り返ると、そこには私が生まれてからずっと過ごしてきた家がある。帰ってくる場所、守られていた場所、私の大好きな場所。


「……またね」


しばらく眺めてから、私は前を向いた。


ルカを探すために、ノアを探すために。

そして___この世界を、もっと知るために。
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