禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
森を抜ける。ただ、それだけのことなのに___思っていたよりずっと大変だった。


「……はぁ、はぁ……」


足元は木の根や石だらけで、少し歩くだけで息が上がる。


今までなら、疲れたら休めばよかった。お腹が空けば家に帰ればいい。夜になれば、温かい布団が待っていた。

でも、今は違う。


「……自分で全部やらなきゃいけないんだ」


食べるものも、寝る場所も、身を守ることも、誰かに頼ることはできない。

それが旅をするってことなんだろう。


「……日も暮れてきたし、そろそろ寝床を探さないと」


見上げると、木々の隙間から見える空が、少しずつ茜色に染まっていた。

急がないと、夜の森が危険なのは嫌というほど知っている。


私は少し開けた場所を見つけ、そこで荷物を下ろした。


「よし……」


枝を集め、火を起こす。持ってきた食料を確認する。足りない分は、近くにあった果実を少しだけ採った。

水は魔法で用意できる。こういう時、水属性でよかったと思う。


「……これで、なんとかなるかな」


簡素な寝床を作りながら、小さく息を吐く。

一人で旅をするなんて、本当に無謀だったかもしれないけど___


「……ルカを探す」


その気持ちだけは変わらなかった。

食料の準備をしようと、ナイフを取り出す。


「これを切って……」


___すっ。


「……痛っ」


指先に、小さな赤い線ができた。

……やってしまった。慣れない環境に気を取られて、完全に油断していた。


「……ついてないなぁ」


この程度なら大したことない。家にいた頃なら、お母さんがすぐに手当してくれただろうけど。


「……絆創膏なんて、持ってきてないし」


仕方ない。これくらいなら、そのうち止まる。

そう思って作業に戻ろうとした時。


「……また怪我したのか」

「……!」
< 41 / 48 >

この作品をシェア

pagetop