禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
それでも、ちゃんと誰かが暮らしている家だった。


「……ここ?」

「あぁ」


シオンが扉を開ける。


「今日はここで寝てけ」

「え……」


思わず目を丸くする。


「いいの?」

「野宿するよりマシだろ」

「……ありがとう」


素直に頭を下げると、シオンは気まずそうに視線を逸らした。


「礼はいらない」


……やっぱり、この人。

口は悪いけど、意外と優しいな。


そんなことを考えていた、そのとき。


「___遅い!」


家の中から声が飛んできた。


「もう!シオンさん、帰ってくるの遅すぎ!」


次の瞬間、小柄な男の子が家の奥から駆けてきた。

白銀色のふわふわした髪に、淡い青緑色の瞳。年齢は、私より少し下だろうか。


「僕、寝ないでずっと待ってたんだから!」


頬を膨らませながら、シオンに詰め寄っている。

……え。シオンにこんなこと言える人、いるんだ。


「すまない、フィン」

「『すまない』じゃないよ! 夜の森に一人で行くなって、何回言えば___」


そこまで言って、男の子の視線が私に向いた。

さっきまでシオンに向けていた表情が一瞬で消え、青緑色の瞳が細くなった。


「……誰?」


……怖。

さっきまでの可愛らしい顔はどこへ?


「こいつは___」

「僕は、あんたに聞いてるんだけど」


シオンの言葉を遮って、フィンが言う。


「おい、フィン」


なんだろう。すごく警戒されている。

私、何かした?


「……アイリス・レインです」


とりあえず、敵意がないことを伝えるために頭を下げる。


「今日、シオンに会って……その、今晩だけ泊めてもらうことになりました」


フィンは私をじっと見つめる。


「……シオンさんが?」

「そう」

「ふーん……」


明らかに納得していない。
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