禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜

010.ギルド

シオンと一緒にいた男の子の名前は、フィン・アスターというらしい。私より一つ年下の、十歳。

最初はあんなに睨まれていたのに。


「……そこ、違う」

「え?」

「包丁の持ち方。危ない」

「こう?」

「……違う。逆」

「こっち?」

「そう」


少しずつ。ほんの少しずつだけど、フィンとも話せるようになっていた。


そしてシオンの厚意で、私はしばらくこの家に住まわせてもらうことになった。


森を抜けて街へ向かう前に、ここで少しだけ旅の準備を整える。その数日間、私は二人から、本当にたくさんのことを教えてもらった。

魔物との戦い方、森で生きる方法、食べられる植物の見分け方、火の起こし方、簡単な料理。


「このキノコは絶対に食べちゃダメ」

「なんで?」

「毒あるから」

「じゃあ、こっちのは?」

「それは食べられる」

「見た目ほとんど一緒じゃん……」

「全然違じゃん!よく見てよ!」


フィンは、本当に何でも知っていた。

毒のあるキノコ、薬になる葉。簡単な料理から、裁縫まで。年下とは思えないくらい、生活に関する知識が豊富だ。


「フィンって、すごいね」

「……まぁね」


褒めると、決まってそっぽを向く。

でも、少しだけ嬉しそうに耳を赤くしてるのを、私は知っている。


そして___


「……そこ、気をつけろ」

「分かってる!」

「分かってないから言ってる」

「っ……」

「ほら、右」

「……わっ!」


振り向いた瞬間、目の前に魔物が迫っていた。


「___っ!」


身体をひねる。

そのまま距離を取って、指先へ魔力を集めた。


「……ふっ!」


勢いよく放たれた水が、魔物を捉える。

魔物の身体が光の粒へ変わり、静かに消えていった。


「……ふぅ」


息を整える。
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