禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
「……相変わらず、いつ見てもすげぇな。それ」


少し離れた場所で、シオンが呟いた。


「そう?」

「俺は魔法使えないからな」


シオンは剣士。その剣術は、一度見ただけでも分かるほど一流だった。

速く、強く。そして、無駄がない。
剣を振るう姿は、まるで風みたいだった。


フィンも魔法は使えないらしく、二人にとって私の魔法は珍しいものらしい。


「でも、私もシオンみたいに剣が使えたらいいのに」

「無理」

「えー、即答?」

「お前には魔法があるだろ」

「でも、魔法が使えないときだってあるかもしれないじゃん」

「……なら、身体の使い方くらいなら教えてやるよ」

「えっ、いいの!?」


シオンが剣を肩に担ぐ。


「昨日より動けてたぞ」

「ほんと?」

「あぁ」


短い言葉だけなのに、なんだか少し嬉しかった。


シオンに教えてもらった体の使い方、フィンに教えてもらった森での生き方。そして、今まで積み重ねてきた魔法の訓練。

数日しか経っていないけど、私は少しずつ変わっている気がした。


「……全然まだまだだけどね」


自分の手を見る。


強くなったけど、まだ足りない。

もっと、もっと力が必要だ。


「焦るな」


シオンが言った。


「一日で強くなれる奴なんていない」

「……シオンも?」

「当たり前だろ。俺だって同じだ」

「……ん、そっか」


その言葉が、妙に心に残った。


「……ありがとう」

「何が?」

「いろいろ」


シオンは少し黙って。


「……別に」


いつもの返事だけど、前より少しだけ、その言葉が柔らかく聞こえた。
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