禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜

011.傷跡

ギルドに並んだ依頼書を、もう一度見つめる。

魔物討伐。今の私がどこまで戦えるのか、それを知るにはちょうどいい。


「……私も、依頼を受けてみたい」


そう言った瞬間、シオンの表情がほんの少し曇った。


「……お前が?」

「うん」


シオンは依頼書から私へ視線を移す。


「お前には、まだ早い。危険だ」


思ったよりはっきり言われて、胸の奥が少しだけむっとする。


「……私だって戦えるよ」

「知ってる」

「なら___」

「だから言ってるんだ」


シオンの声が、静かに重なる。


「お前、自分が傷ついても平気な顔をするだろ」

「……え?」

「そういう奴が一番危ない」


思わず言葉に詰まる。

シオンは私の腕を見る。そこには、以前魔物に負わされた傷の跡がまだ薄く残っていた。


「強いかどうかじゃない」

淡々とした声。


「無茶をする奴を、一人で行かせたくないだけだ」


胸が、ほんの少しだけ熱くなる。


「……それでも、やりたい」


私はシオンをまっすぐ見た。


「もっと強くなりたいから。……私、自分の力をちゃんと知りたい」


目的のためにも、これから一人で歩いていくためにも。誰かに守ってもらうだけじゃ、何も変えられない。

シオンはしばらく黙っていた。そんな私たちの横で、フィンが小さく笑う。


「シオンさんだって、昔は一人で無茶してたのに」

「……フィン、余計なこと言うな」

「事実じゃん」


シオンが黙る。どうやら図星らしい。

私は少しだけ頬を膨らませた。


「……お願い、シオン。絶対に無茶しないから」

「お前の『絶対』ほど信用できないものないだろ」

「そ、そんなことないよ!」


思わず声を上げると、シオンはほんの少しだけ口元を緩めた。


「……分かった」
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