禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
そう言って、シオンは私の頭に、ぽんと手を置いた。


「ただし___俺から離れるなよ」

「……分かった!」

「お前が強くなるまで、俺が見ててやる」


シオンは片方の口角を上げて言った。

あまりにも自然に言うものだから、一瞬、意味を理解するのが遅れた。


「……ありがとう」


小さく頷く。

ただの約束なのに、妙に安心する。


「じゃあ、行こう」

「……あぁ」


私が笑うと、シオンは手を離した。その横で、フィンがじっとシオンを見る。


「……シオンさん、最近ちょっと甘くない?」

「……」

「気のせい?」

「気のせいだ」

「……ふーん」


フィンは意味ありげに私を見る。


「どうしたの?」

「んー、なんでもない」


……なんなの、この二人。


___その後、フィンが手際よくギルドへの登録を済ませてくれた。

必要事項を書き込み、簡単な説明を受ける。


「はい。これで登録完了」

「ありがとう、フィン!」

「……別に」


フィンはそっぽを向いた。


「シオンさんに頼まれただけだから」

「それでも助かったよ」


少しだけ沈黙。


「……どういたしまして」


小さな声に、私は思わず笑ってしまう。

最初はあんなに睨まれていたのに、今ではこうして普通に話してくれる。まだ少し距離はあるけど___前よりずっと近く感じる。


「……依頼を探すか」


壁に並ぶ依頼書へ目を向ける。

胸が高鳴る。ここから、私の新しい旅が始まるんだ。
< 56 / 59 >

この作品をシェア

pagetop