禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
それから、数ヶ月。私はシオンのもとで、いくつもの依頼をこなしてきた。

薬草採取、森に出る小型魔物の討伐、街道の護衛。
最初は、シオンの背中を追いかけるだけで精一杯だった。


一歩間違えれば怪我をする。判断を誤れば、命に関わる。

そんな当たり前のことを、私は何度もシオンに叩き込まれた。


『視野を広く持て』

『魔法を撃つ前に、必ず逃げ道を考えろ』

『お前が倒れたら、誰が次に戦う?』


厳しいし、口も悪いけど___一度も、私を見捨てたりはしななかった。

依頼が終われば必ず怪我がないか確認してくれるし、少しでも疲れていれば休ませてくれる。


フィンは戦闘ができないから、討伐依頼のときは家で留守番。その代わり、帰れば温かい食事を用意してくれている。

気づけば私は、この二人と過ごす時間を、当たり前のように感じるようになっていた。


「よしっ。依頼終了!」


最後の魔物が光になって消えていく。

私は額の汗を拭って、大きく息を吐いた。


「……お前も、相当強くなったな」


隣で剣を収めながら、シオンが呟く。


「ほんと?」

「あぁ」


短い言葉だけど、シオンがこうやって素直に認めてくれるのは、なんだか嬉しかった。

初めて会った頃なんて、『お前、馬鹿か?』なんて言ってきたのに。


「シオン師匠のおかげだね」

「……師匠?」

「うん。私の師匠」


にっこり笑ってみせると、シオンは一瞬だけ固まって。


「……好きにしろ」


ぷい、と顔を逸らした。

耳が少し赤い気がする。


「……?」


なんだろう。最近、こういう反応が増えた気がする。

まあ、シオンの考えていることなんて、私にはよく分からないけど。
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