図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜
谷口くんの後ろで佳奈が聞く。
「んー、何がいいかな」
谷口くんが首をひねる。
「決まってないの?」
「うん」
「じゃあ、あれとかいいんじゃない?お菓子セット」
佳奈が指さす。
谷口くんは苦笑する。
「佳奈ちゃん、実はお菓子狙ってるでしょ?」
「あ、バレた?だめかなー?」
谷口くんがふっと笑って、
「いや、いいよ。やるよ」
と言って、射的台の前に立つ。
玉を詰め、銃を構える。
佳奈を見ると、心なしか頬がほんのり赤くなっている気がする。
そういえば、谷口くんは佳奈のことを「佳奈ちゃん」と呼んでいる。いつの間に仲良くなったのかな。
汐留くんは狙う景品をもう決めているのか、特に迷う様子もなく銃を構えた。
私は、汐留くんが狙いを定めているところをぼんやりと見ていた。
汐留くんは、何をしても様になるなあ。
そして--。
汐留くんが、引き金を引く。
バンっという大きな音がし、銃から玉が飛び出し、くまのぬいぐるみに当たる。
わずかに揺れただけで、倒れない。
くまは、茶色のふわふわした毛並みに、首に赤いリボンが巻かれている。
可愛い。
けれど、他の景品よりは少し大きめで、しかも高い位置にある。
難しいのを狙っている。当たっただけでもすごい。
汐留くんは諦めないのか、もう一度引き金を引いた。くまの胴体に当たり、少し前へずれる。