図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜

谷口くんの後ろで佳奈が聞く。


「んー、何がいいかな」


谷口くんが首をひねる。


「決まってないの?」


「うん」


「じゃあ、あれとかいいんじゃない?お菓子セット」


佳奈が指さす。


谷口くんは苦笑する。


「佳奈ちゃん、実はお菓子狙ってるでしょ?」


「あ、バレた?だめかなー?」


谷口くんがふっと笑って、


「いや、いいよ。やるよ」


と言って、射的台の前に立つ。


玉を詰め、銃を構える。


佳奈を見ると、心なしか頬がほんのり赤くなっている気がする。


そういえば、谷口くんは佳奈のことを「佳奈ちゃん」と呼んでいる。いつの間に仲良くなったのかな。


汐留くんは狙う景品をもう決めているのか、特に迷う様子もなく銃を構えた。


私は、汐留くんが狙いを定めているところをぼんやりと見ていた。


汐留くんは、何をしても様になるなあ。


そして--。


汐留くんが、引き金を引く。



バンっという大きな音がし、銃から玉が飛び出し、くまのぬいぐるみに当たる。


わずかに揺れただけで、倒れない。


くまは、茶色のふわふわした毛並みに、首に赤いリボンが巻かれている。


可愛い。


けれど、他の景品よりは少し大きめで、しかも高い位置にある。


難しいのを狙っている。当たっただけでもすごい。


汐留くんは諦めないのか、もう一度引き金を引いた。くまの胴体に当たり、少し前へずれる。
< 114 / 117 >

この作品をシェア

pagetop