図書室の恋だより〜ただ静かに、君とページをめくりたい〜
◇
案の定、委員会決め終了後――。
「ねえ、西本さん図書委員代わってよー」
「西本さんが一言先生に言えば代えてくれるって」
クラスでも特に目立つ女の子たち、田中さんたちのグループが、私の席を囲んだ。
やっぱり、そうなるよね‥‥‥。
どうしよう‥‥‥。
返す言葉が見つからない私に、助け舟が出された。
「もう決まったことでしょ!」
カッコよく、きっぱり言ってくれたのは、私のクラスの友人、佐々木佳奈。
佳奈の言葉に田中さんたちは、何か言いながらも去っていった。
「佳奈、ありがとう」
私は感謝の気持ちを込めて、佳奈に手を合わせた。
佳奈はにっこり笑った。
「しーちゃん、なんだか大変なことになったね」
のんびりした口調でも心配してくれているのは、もう一人の友人、前田由梨。
「う、うん……」
私は小さく笑った。
「でも本当に、汐留くんなんで図書委員に立候補したんだろ。本好きなの?」
佳奈が首を傾げた。
「一年生の時から汐留くんの噂はいろいろ聞くけど……。本が好きって話は聞いたことないな」
由梨が手を顎に当て、思い出すように視線を上げた。
「別に、図書委員は本が好きじゃないといけないわけじゃないけど。
あの司書がいる図書室だよ?
栞みたいに図書室が好きじゃないと、なろうと思わないよ」
佳奈の言葉に、私は曖昧に頷いた。
佳奈と由梨--。
私が、クラスで仲が良いと呼べる友人はこの二人だけ。
佳奈は、お姉さんタイプの美人でおしゃれだ。
由梨は、ショートボブで、ふんわりしてとても可愛い。
男子に人気だけど、大学生の彼氏がいる。
私は平凡な顔立ちで、髪は肩まで下ろしているだけ。
二人と比べたら、かなり地味だ。
でも地味でもいい。
とにかく私は、高校三年間を穏やかに過ごしたい‥‥‥。
私はため息をついた。
「私、汐留くんと話したことないよ。ちゃんと一緒にできるかな」
「汐留くん、ちょっと女子が苦手な感じするよね」
由梨が言う。
対して佳奈は、励ますように明るく言った。
「大丈夫だよ!
汐留くんしっかりしてそうだし、去年みたいに相方がサボるってことはないんじゃない?」
去年の図書委員の男子。
最初こそ一緒に当番をしてくれたものの、途中で
『ごめん、ちょっと部活で忙しくて』
と言い、来なくなってしまった。
正直、よく知りもしない男子と2人になるのは気まずかったので、逆にありがたかったんだけど……。
私は男子が少し苦手。
なんとなく緊張してしまって、うまく話せない。
そんな私の気持ちを察してか、佳奈は言う。
「目の保養が近くにいると思ったらいいよ!栞だって『汐留くん、カッコいい〜、ラッキー』って思うときが来るかもしれないよ!」
私は苦笑する。
「そんなふうに思えたらいいんだけど……」
まあ、でも。
少し思い直した。
同じ委員会だとしても、そんなに関わらないよね。
汐留くんも、私みたいな地味なタイプとは合わないと思ってるだろうし‥‥‥
--と、思っていたんだけど‥‥‥。