幼馴染がお兄ちゃんになりました。
「本当に急いだのか?」

ドアを開けると塀の壁によりかかって待ってくれていた昴輝に嫌味っぽく言われた。

「うん!私なりの超特急で!(?)」

私が言ったことが面白かったのか、彼はふっ、と笑った。

「新学期に遅刻とかやべーからな。早歩きで行くぞ」

昴輝の早歩きでがはやすぎて追いつけない。

「ちょっ!もう走ってるじゃ…」

私が喋り終えるのを待たずに腹の音がなった。

「だれ?」

「…私しかいないでしょ!!」

恥ずかしい…。

お父さんの前では「お腹空いてない」とか言ったけど、空いてるに決まってる。

「朝ごはん食べてねーのか?」

図星。

「食べてないよ!寝坊しちゃったんだもん」

昴輝はびっくりした顔で私をみた。

「あんなに食い意地すごいのに朝ごはん抜いてきたんだ」

私のことなんだと思ってるの(汗)

「昴輝待たせてるのに呑気に食べてられないよ!」

「ふーん」

彼はスクバから何かを取り出した。

「母さんの手作りだけど…いる?」

彼の手にのっていたのはおにぎりだった。

「え!いいの!?」

「おう…。まだ二個もあるし…」

「ありがと〜!!!」

昴輝から貰ったおにぎりを口に頬張って歩く。

(食べ歩きは良くないけど…)


お母さんが亡くなった後、私は保育園に通うことになった。

そこで昴輝と出会った。

浮いていた私に「一緒に遊ぼう」と声をかけてくれた優しい男の子だった。

…幼少期時代からは想像できないくらいにチャラくなってしまったけど…。

中学卒業と同時に金髪に染めてピアスも開けちゃって…。

認めたくないけど顔がいいから目立つし…。

しばらくたったある日、隣の家から彼が出てきたとこをみて、互いに『お隣さん』だと認識した。

昴輝は母子家庭でよく家にお邪魔させてもらっている。

実は私のお父さんと昴輝のお母さん、同じ職場なんだ。

だから家族ぐるみでも仲が良いの!

たまたま昴輝と同じ高校だったから、小・中学校に引き続き、一緒に登校している。

帰るタイミングが合う日は下校も一緒のときがある。

これから朝から夜までずーっと同じ家にいることになるなんて、思ってもいなかった。
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