屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「え……?」

 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
 けれど彼は冗談を言っている顔ではない。

「今度は先輩が必死にならなくても、俺があなたをドキドキさせますから」
「何言ってるの」

 思わず笑い飛ばそうとした。けれど森本くんは笑わない。

「つまり俺は九条さんが好きになったって話です」

 その言葉に、今度こそ私は固まった。

「いや、ちょっと待って。私は森本くんの毒牙にかかる気はないから!」
「毒牙ってひどくないですか?」

 さすがに傷つきました、と言って彼は寂しそうに笑う。

「森本くんは遊んでる女の子、たくさんいるんでしょ」
「社外ばかりです。だって社内の女の子って面倒ですし」
「じゃあどうして私なのよ」

 そう尋ねた瞬間、森本くんの表情が少しだけ真面目になる。

「九条さんに興味を持ったからです。俺、九条さんが左手の薬指に指輪してきたの知っています。ってことは、婚約者かなにかなのかなって思ってました。なのにすぐ隠したじゃないですか。それから初心者みたいなデートの相談もされるし……相手、本当に九条さんを好きじゃなさそうに思えるし。色々わけわからなくて。そんなやつにあなたが振り回されてると思うと、気になって」
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