屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
雨音が静かに響く。
「俺は好きな人には誠実ですよ」
「全然、説得力ない」
「九条さんが他の女性を全部切れと言うなら切ります」
「それのどこが誠実なのよ!」
思わず声が大きくなる。
普通は全部清算してから告白するものではないのか。
いや、そんなふうにされても困るし。
「比べてくださいよ。九条さんの彼氏と、俺。どっちがいいか。そのチャンスくらいくれたっていいじゃないですか」
そう言われた瞬間、朝霧社長の顔が頭をよぎった。
いや、比べるってそんなのできるわけないでしょ。そもそも社長は彼氏でもないのだ。
「私は……」
「その彼氏が相当好きなんですよね。分かってます」
森本くんは言った。
「違っ――」
「でも俺は諦め悪いんで」
その目が真っ直ぐ私を射抜く。
次の瞬間だった。