屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「触るな」

 低い声に、私は反射的に振り返る。
 そこに立っていたのは朝霧社長だった。

 雨の中をやってきたのだろう。肩には雨粒がのっている。
 けれどそんなことより、私は初めて見る表情に息を呑んだ。

 いつもの冷静さがない。

 感情も徹底的に抑え込んでいるはずの人なのに、その瞳にははっきりと怒りが滲んでいた。
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