屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「夏音、行くぞ」
「え……」

 有無を言わせない声音で、社長は私の手首を掴んで歩き出す。
 私は状況がまったく理解できなかった。

 どうしてここにいるのか。なぜこんなに怒っているのか。なぜまた名前で呼ぶのか。
 何ひとつ分からない。

 それなのに……さっきまで感じていた嫌な寒気はいつの間にか消えていて、代わりに顔が熱くなっていっていた。
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