屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「違うんです」

 私は自分でも何を言おうとしているのか分からないまま、必死に言葉を探していた。

「同じことをされても……社長は違うんです」

 そこまで口にしてから、自分が何を言っているのかようやく理解してしまった。

 社長と他の人は違う。

 森本くんに手首を掴まれた時は怖かった。離してほしいと思った。嫌だった。
 けれど社長に触れられた時は違う。腕を掴まれても嫌じゃなかった。

 それどころか、社長が来てくれたことに、心の底からほっとした。
 そして何より、離された今になって、その温もりが惜しいと思っている自分がいた。

 これまで少しずつ積み重なってきた感情が、一気に輪郭を持った気がした。

 彼の緊張した顔を見て気になったことも。
 遅く帰宅してくる夜はなかなか眠れないことも。
 笑顔を見たらドキドキしてしまうことも……。
 全部、同じ答えに繋がっていた。
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