屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
気づいてしまった私は、どうしようもなく目の奥が熱くなるのを感じた。
社長はそんな私を何も言わず見つめている。
長い沈黙のあと、社長は小さく息を吐いた。
「……帰るか」
それはいつも通りの口調だった。
けれど、なぜだろう。その声が少しだけ優しく聞こえる。
私は唇を噛む。そして勇気を振り絞るように口を開いた。
「あの、社長」
心臓が壊れそうなくらい鳴っている。
きっと顔も真っ赤だ。でも、続けていた。
「手をつないでもいいでしょうか?」