屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「な、なんか……ちょっと距離、近くないですか」
勇気を振り絞って指摘する。
「嫌か?」
社長は静かに、低く落ち着いた声で問い返してきた。
けれど、その問いに私はすぐ答えられない。
嫌なら簡単だった。問題は、嫌ではないことだった。
むしろ嬉しいと思っていることだった。
私は思わず視線を逸らす。
「答えないと、嫌じゃないととるぞ」
「清正さん、なんか変なんです!」
「そうか?」
そう言って清正さんは笑う。
ほら、また笑ってる。本当によく笑うようになった。絶対、変でしょ。
そしてそんな彼が隣にいるだけで嬉しくなる自分も怖い。
私は清正さんがどれだけ好きなんだ、と自分で自分に突っ込みたくなる。もはや、すでにかなり重症だと思った。