屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「な、なんか……ちょっと距離、近くないですか」

 勇気を振り絞って指摘する。

「嫌か?」

 社長は静かに、低く落ち着いた声で問い返してきた。
 けれど、その問いに私はすぐ答えられない。

 嫌なら簡単だった。問題は、嫌ではないことだった。
 むしろ嬉しいと思っていることだった。

 私は思わず視線を逸らす。

「答えないと、嫌じゃないととるぞ」
「清正さん、なんか変なんです!」
「そうか?」

 そう言って清正さんは笑う。

 ほら、また笑ってる。本当によく笑うようになった。絶対、変でしょ。
 そしてそんな彼が隣にいるだけで嬉しくなる自分も怖い。

 私は清正さんがどれだけ好きなんだ、と自分で自分に突っ込みたくなる。もはや、すでにかなり重症だと思った。
< 136 / 228 >

この作品をシェア

pagetop