屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

 顔を真っ赤にして抗議する私をよそに、小学校高学年以上の女の子たちは何かを察したらしく、「えー!」「そうなんだ!」と一気に盛り上がり始める。

 最悪だ。絶対変な誤解をされている。

「そういうこと言うなら追い出しますよ」

 私が本気で睨むと、清正さんはさすがにまずいと思ったのか、苦笑しながら話題を変えた。

「ところでさっきまで何をしていたんだ?」

 清正さんは私の怒りを華麗に受け流しながら、健太くんへ疑問をぶつける。

「トノサマバッタ探してた!」
「見つかったのか?」
「だめだ。ショウリョウバッタならいたんだけどなー」
「そうか」

 清正さんは少しだけ辺りを見回したあと、ごく自然な口調で言った。

「じゃあ、一緒に探すか」
「ああ! いいぜ!」

 相手は大企業のトップなのに、健太くんの態度の方が圧倒的に偉そうで、見ているこちらがひやひやする。

 けれど当の本人は全く気にした様子もなく、しゃがみ込んで草むらを覗いたり、子どもたちと一緒に庭の隅を探したりしながら楽しそうに参加していた。
< 140 / 228 >

この作品をシェア

pagetop