屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「少し酔っちゃいましたね」

 店からの帰りのエレベーターの中でそう呟くと、隣に立つ清正さんが小さく息を吐きながら私を見下ろした。

「今度はあんなに煽らないでくれよ」
「え?」

 私は不思議に思って首をかしげた。
 煽った覚えなんてこれまでまったくないし、そんなの私にできるはずがないが……。

「そんなことしてませんよ?」
「した」
「してませんって」

 むっとして言い返すと、清正さんはどこか困ったような、それでいて少しだけ諦めたような顔をする。
 その反応の意味がよく分からず、私はますます首を傾げたが、清正さんは結局何も説明してくれなかった。
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